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From Farm

Produceing Farm to Bar

チョコレートができるまで

1. カカオ栽培

カカオの木は非常に繊細で、よい状態に育てるのがとても難しい木です。

ベトナムの農業・農村開発省が公布しているカカオの最適な生育環境は、気温が最低でも18℃で最高35℃、平均25℃、湿度は70〜80%以上、また理想的な年間降水量は1,500〜2,000mmとかなり多い湿潤環境です。

高度は海抜最大800メートルとされ、風が強い地では、カカオの葉を落とし実を枯らすため風を防ぐ必要があります。

また、カカオの苗を植えた最初の一年目は直射日光は30%、2年目以降は50%、また実をつけ始めたら75%の日光を目安として調整しなければなりません。農園では、そのフェーズにあわせシェードツリーやカカオの木を定期的に剪定し、日陰を作るよう直射日光を調整し、また程よい光を入れることで害虫を駆除します。

落ち葉は土壌に適度な水分を保つ役割があり、またカカオの殻はボカシ肥にして使います。バリアブンタウの農園では「BOKASHI」と呼んでおり、聞くと、日本人の専門家の指導によるものでした。​日本の農業の知恵が生かされていて嬉しく思います。

2. 収穫とカカオの実の取り出し

カカオの花は幹からも咲きます。開花後、約3ヶ月半で収穫の時期になります。カカオポッドは、熟してからしか収穫しません。これは木を大切に保護し、何度も繰り返して確実に花を咲かせるための技法です。収穫には、なたや大ばさみなどのさまざまな道具を使用し、幹を傷つけないように、幹から少し離して収穫します。

カカオポッドを一箇所にあつめ、カカオポッドをナイフで切るかこん棒で割りポッドを開きます。白いパルプに包まれたカカオ豆の房を、ポッドから取り出し、そしてポッドを選別し、状態の良いものだけをとっておきます。ポッドひとつから30~40個のカカオ豆が取れます。

3. 発酵

カカオ豆はまわりの白い果実(パルプ)の水分量を調整するために、ざるなどに入れて2時間〜半日おきます。パルプはカカオワインにするためにも使うため、一部のパルプはその時に別にとります。

ベトナムでは、カカオ豆は木箱のなかで自然発酵されます。発酵はチョコレートのアロマに大変重要なステップとなり、二段階で行われます。
- 専用の木箱の上段にバナナの葉をしき、そこにカカオ豆をいれ麻袋をかぶせます。パルプに含まれる糖がイーストと反応し、その結果、発酵が起こりエタノールと二酸化炭素を生成します。これは酸素を必要としない反応です。
- その後、カカオ豆に酸素を触れさせるために下の段の木箱に移します。その後も何度もかき混ぜて新鮮な空気と触れさせることにより酢酸発酵が起こり、酢酸とエネルギーが生成されます。これは酸素を消費する反応です。

エネルギーの生成により、カカオ豆が発熱します。その温度を適切に管理することにより天に左右されやすいフレーバーをコントロールします。

53度まで温度があがったら発酵は終了です。

4. 乾燥と選別

発酵したカカオを、雨よけのビニールシートをはった乾燥台に広げまて乾燥させ、中に含まれる水分レベルを7%未満に減少させます。こうすることで発酵プロセスを完全に中止させ、再発酵のリスクがない状態で出荷、貯蔵できるようになります。

弊社の提携農家では、天日で新鮮な空気に当て、乾燥中も1日2度かき混ぜて乾燥状態をチェックしながら丁寧に乾燥させています。

不純物、異物、ゴミなどを入念に取り除いてから、カカオ豆を等級に分けて袋詰めにします。

弊社で日本に向けて輸出するカカオ豆は、一番グレードの高いA2又はA1のカカオ豆を仕入れてホーチミン市にて再度選別します。異物、割れたり潰れている豆、小さい豆を手作業で取り除きます。約20%の豆が取り除かれます。その後、20kgの麻袋に詰め輸出します。

5. 焙煎

焙煎は、チョコレートの味わいを引き出すために欠かせない、鍵となる重要な工程です。選別したカカオ豆を、120〜130°Cの低温でサイズに分けて焙煎します。熱を加えることで皮がむきやすくなり、カカオ豆の香りがより引き立ちます。40分から1時間、様々な温度でテストをして最も適切な温度と時間を探し出しました。

6. 粉砕

粉砕では、カカオ豆を破裂させ殻とカカオニブをできる限り選り分けます。サイズの大きなカカオニブは再度粉砕機にかけます。

7. 送風で身と皮を仕分ける

ウィノアーで皮とニブスを分けます。吸引を利用して豆の皮を吸い上げ、重力で実が落ちる仕組みになっています。皮が残るとチョコレートに雑味が出るため、風量を調整して何度も行います。

ウィノウィングで取りきれなかった皮を手作業で剥がします。その際、胚芽も取り除きます。

8. ミックス

通常はバリアブンタウのカカオ豆のみでチョコレートをつくりますが、カカオの風味を生み出すために、ベトナムでも異なる産地のカカオ豆をブレンドすることもあります。このブレンド手法ではカカオ豆グラインダーのホッパーの中でブレンドします。

9. 磨砕(グライディング)

カカオ豆をすりつぶし、カカオのオイル分であるカカオバターを「解放」します。​​

これがいったん溶けるとペースト状になり、液状のなめらかな質感が生まれます。

10. コンチング(精錬)

コンチング(精錬)は、液状のチョコレートを製造する上での最終段階です。チョコレートを作るのに必要な砂糖やカカオバター等の原材料は、この段階で加えられ、均質なペースト状にします。

三日三晩加熱して練りながら細かく粒子化し、なめらかさと豊かな風味を引き出します。

11.エイジング

メランジング後のチョコレートは、ブロック状にされ1週間ほど寝かします。

12. テンパリング(調温)

液状のチョコレートを温度調整してカカオバターを結晶化させ、安定した形状にします。45〜50°Cに温度を上げて全ての結晶を溶かし26°Cに下げ、その後28〜29°Cへ。この温度調節によりツヤやなめらかな口溶け、パリッという食感が生まれます。

13. 成型

チョコレートを量って型の中に流し込み、冷却して固めます。

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