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リファイニングとコンチング


「ダンデライオンのチョコレート」から抜粋

私がカカオについてチョコレートについて知りたい時に使う本は主に2冊あります。

そのうちの1冊はこちら。今日はリファイニングとコンチングについて抜粋。


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リファイニングの目的は、「大きな粒子を小さく砕く」ことです。

カカオ豆の細胞構造が壊れ、油脂が放出されると、油脂固形物の懸濁液、すなわちチョコレートを形成し始めます。

さらに、リファイニングするとチョコレートはなめらかになります。

私達のように2つの原材料だけでチョコレートを作る場合、粒子を細かく砕くことはもとりおん、粒子の形を整えることも大切です。

たとえ粒子が細かくてもギザギザで不規則な形をしていると、油脂の中で粒子同士が流れにくくなり、チョコレートの粘土が高くなります。(その結果、作業が大変になります)

口に入れると、ざらついて感じるかもしれません。そこでコンチングをするのです。


コンチングは「粒子の形を整え」「揮発性物質を酸化」し、「固体粒子の間に油脂」をいき渡らせるという3つの役割があります。

コンチングはフレーバーを作り出すのに不可欠な工程ですが、リファイニングとコンチングのふたつの機能を備えた機械もあるので、ここでは質感の観点からお話します。


質感と粘度の5つの要素


ニブと砂糖は様々な方法で一緒に砕くことができ、その方法によって質感と粘度は変わります。

私達が考える質感とは、チョコレートを2本の指か舌と口蓋で挟んで押したときの感覚です。

一方、粘度とはチョコレートの濃度、注ぎやすさ、流れ方のことです。

質感と粘度は別物とはいえ、関連が深く、どちらかを切り離して考えることは出来ません。


チョコレートのなめらかさと濃度という異なるものを指すため、質感と粘度を通常は分けて考えますが、次の5つの要素に共通して影響を受けます。


1,油脂含有量

2.油脂の種類

3,水分

4,粒子の形状

5,粒子の大きさと分布


5つの要素はすべてチョコレートのなめらかさと濃度に作用します。なめらかなチョコレートは口の中で簡単に溶け、スッキリとしたなめらかな後味が残ります。

質感が調整されていないと、舌や頬の内側にザラザラとした感触が残ります。チョコレートの粒子が小さくきれいな丸い形をしているとなめらかな口当たりになりますが、粒子が不揃いだったり、油脂が少ないと、チョコレートが重くなり機械で扱いにくくなります。(粘土が高すぎると機械がこわれることも)

チョコレートに多くの油脂が含まれていると、よりなめらかな液状になり、粒子がギザギザで不規則な形をしていると、粘土がやや高まります。すばらしい質感が最終目標ですが、品質維持のため粘度には気を配らなければなりません。


一般にチョコレートメーカーは作業効率を考えて粘度を低くすることを目指します。

チョコレートの粒子が小さく、丸くて形が均一な場合、粘度は低くなり質感はなめらかになります。しかし、粘度の低さとなめらかさは必ずしも同時に得られません。それらは機械で制御できますが、カカオ豆にもとから含まれる脂肪酸の量や種類などはコントロールできません。理想のフレーバーを維持するために、正しいリファイニング(およびコンチング)技術によりそのほかの要素を調整します。

質感をなめらかにし、粘度をひくくするために私達のようにカカオバターを入れない場合でも、先に上げた5つの要素はさまざまに調整することができます。


1,油脂含有量

油脂が多いと、チョコレートの粘度は低くなります。それは固体粒子が移動する媒体が増えるからです。固形物の間に潤滑剤が多いほど、チョコレートは口の中でも機械の中でもスムーズに流動します。

油脂含有量は、質感の滑らかさを出す他にテンパリングにおいて重要な問題です。チョコレートの濃度が高くテンパリング出来なければ、常温保存可能なチョコレートバーになりません。

テンパリングで実際に調整するのは油脂なので、油脂が多いとテンパリングしやすくなります。そしてチョコレートの粘度が低い場合もテンパリングマシンのつまりや破損のリスクが下がります。

油脂含有量はコントロールできないため、脂肪分の多いカカオ豆を意図的に選ぶしかありません。私達はカカオ豆と砂糖以外に油脂や乳化剤を加えないので、栽培や加工の状態に左右されるカカオ豆本来の脂肪分が影響します。

タンザニアとトリニダードの豆は57−58%の脂肪分を含んでいることがわかりました。

エクアドルの豆は収穫時期によって違いはあるものの52%程度にとどまっていました。

一般的に赤道から遠ざかるほど、そして天候が穏やかになるほど、豆には多くの脂肪分が含まれます。カカオ豆を選ぶときには豆に含まれる脂肪分の割合とこの一般的な法則を考慮に入れてください。


2,油脂の種類

チョコレートに含まれる油脂の種類をコントロールする方法はありませんが、カカオバターを別の油脂と入れ替えることはできます。圧搾機でカカオ固形物とカカオバターに分け、カカオ固形物に別の油脂を加えるか、またはココアパウダーと油脂を加えます。少希望のチョコレートメーカーは様々な理由であまり使いませんが、実際に質感と粘度に影響を当たる方法なのでここでは記しておきます。

チョコレートの油脂を入れ替えることは、世界中の大手チョコレートメーカーでは常識です。大手メーカーはカカオバター(化粧品業界向けに製菓で販売しているもの)よりも安価な油脂や、気温の変化に影響を受けにくい油脂を探し求めています。

カカオバターを抽出し別の油脂ち完全に入れ替えられない場合、大手メーカーでは常温での保存性を高めるためカカオバターに他の油脂を加えることもあります。カカオバターは適切な環境では素晴らしい質感を作り出しますが、気温の変わりやすい状態では決勝が安定しません。たとえば、あなたが作ったチョコレートがタイのお店の棚に半年間置かれると想像してください。ブルームを起こさない油脂はとても魅力的ですよね。大手メーカーはカカオリカーに大きな圧力をかけて圧搾し、カカオバターとカカオ固形物を分け、カカオバターに別の油脂を合わせます。入れ替えたり追加したりするのはたいていパーム油のような安価な油脂です。カカオバターは高価な化粧品に利用されているので、パーム油を使ってチョコレートを常温で長く保存できるなら、化粧品会社とウィンウィンの関係を築けるかもしれませんね。


3,水分

水分はあらゆる形態において、チョコレートの大敵です。コントロールするには、チョコレートから水分を遠ざけるしかありません。液状のチョコレートに水を少しずつ注ぐと希釈されて濃度が低くなると思うかもしれませんが、実際には予想に反してチョコレートは固まり、粘土が高くなります。


4,粒子の形状

チョコレートの中の粒子の形状は、変化する要素の中でももっともコントロールすべきもので、とりわけ機械を選ぶ時に考慮する必要があります。きれいな丸いなめらかな粒子は、チョコレートをなめらかで流動的にするので、扱いやすい粘度になり口当たりもよくなります。

油脂の量が多いと固体粒子が動きやすくなりますが、それは粒子の形状で変化します。

ですから、機械を選ぶ時はチョコレートに含まれる油脂の量とそのほかの要素以外に、粒子を丸く形作る機能が重要だということを覚えておいてください。

チョコレートの粘度を低くし、扱いやすさを向上させるからです。他の油脂を加えるなら、この機能はそれほど問題ではありません。結果的に、正しいリファイナーの選択は粒子の形状に影響を与えますが、最終的な成形はコンチェの能力によります。スピードは早いけれど作業が荒いリファイナーを選び、残りの作業をコンチェに任せてもいいでしょう。


5,粒子の大きさと分布

丸い粒子はチョコレートの流動性を高め、粒子が同じ大きさになればなるほど流動性はよくなります。また、粒子が私達の味蕾が受け入れやすいサイズに揃えば、もっとなめらかな口当たりになります。リファイニングとコンチング・マシンをえらぶとき、一つの変化に着目してほかの要素を見落とすと、ゴールまでの途中で問題が出てくるかもしれません。

まず考慮に入れるのは粒子の大きさで、次は粒子の大きさの分布です。

質感に関していうと、カカオニブを可能な限り小さなサイズにすれば、最高になめらかでシルキーなチョコレートができると思うかもしれません。ところが、それではリファイニングしすぎであることが実験でもわかっています。粒子の大きさが平均5ミクロンの場合、チョコレートはベタベタして不快に感じます。私達の経験上、最も心地よい大きさは10−20ミクロンでこの範囲の粒子は口の中でなめらかに感じられます。

また味蕾がフレーバーを最高に美味しく感じるのです。たとえ粒子の大きさの平均がこの範囲内でも、全体の粒子の大きさが10−40ミクロンもしくは15−50ミクロンといった広い範囲に分布していると、おそらくザラザラした感触と粘り気を感じるでしょう。

さまざまな大きさのカカオの粒子が混在していると、大きな粒子の間に小さな粒子が入り込むため、粒子が流れる速度が遅くなります。そのため私達は、粒子の大きさの分布を狭くするj事を目指しています。これはバッチの中に粒子がいくつかるか、という基準で、粒子の多くが狭い範囲内にあれば、粘度を低くできるわけです。私達は粒子の集中んお割合と分布に目を向けています。リファイナー「の中には、粒子の大きさを狭い範囲内に分布できるものがあり、また機械の組み合わせで実現できる場合もあります。




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