バリアブンタウのカカオが育つ土壌
ベトナムのカカオが育つ土壌とバリアブンタウ省チャウドゥックのカカオ農園の土壌のお話です。
先日、BRVT農業局からヒアリングできた事と、タインさんから学んだことを備忘録代わりに纏めます。
土壌を構成する砂と粘土の割合によって、下記のように3分類すると、
砂土(Đất cát): 85% 砂/ 10% limon / 5%%粘土
壌土(Đất thịt): 45% 砂/40% limon / 15% 粘土
粘土(Đất sét): 25%砂/ 30% limon / 45% 粘土
となりますが、その中で一般的な農産物は壌土が育てやすく、カカオも例外ではありません。
そして、pH5.5〜6.7%の弱酸性〜中性が最も適していると言われています。
弊社の提携のカカオ農園の土壌のpHを測ってみると、
pH5.5-5.7でとてもカカオの栽培に向く土壌だと分かりました。
3.0未満酸性
3.0以上 6.0未満弱酸性
6.0以上 8.0以下中性
8.0を超えて 11.0以下弱アルカリ性
11.0を超えるものアルカリ性
また、カカオは勾配が30度以上ある山地や3ヶ月以上乾季が続くような乾燥した土地での栽培も向かないそうです。
チャウドゥックの土壌は、一般にベトナム語ではBAZAN(バザン)と呼ばれる赤土です。
BAZANは、英語の Basaltが語源で、火山から吹き出たマグマが固まってできた玄武岩質の溶岩の土壌で、
肥沃で粒子が細かく水はけがよくて農業に適している土地だそうです。
ベトナムで火山があった事はあまり知られていないのですが、1200万年前からはじまり900万年前が活動のピークだったと分かっています。
赤いところが火山活動地域。
ベトナムの中部からホーチミン市くらいまでに集中しています。
一般的には東部高原地域はBAZAN土壌なのでコーヒー栽培に向くと言われていますが、この地図でも赤色エリアが東部高原地域ですね。
それから、チャウドゥックも赤色エリアにぎりぎり入ってます。
BAZANはなんで赤土なんでしょうか?
それは私もまだよくわかっていません。
玄武岩に含まれれる鉄分が酸化しているから、とか
ボーキサイトを含んでるから赤紫っぽいとか色々あるようです。
さて、メコンデルタ地域の赤土ですが、
BAZANの赤土とは成分が違うそうです。
メコンデルタ地域の赤土はラトソルと呼ばれ、
ラトソルの特徴でもありますが、土壌にミョウバン(phèn)と呼ばれるアルミニウムを含む成分が含まれています。
ラトソルは、水分を含むと柔化しやすく、水に溶け出し、それが熱帯の赤い川の水の原因となっています。
このラトソル、チャウドゥックでも見られました。
さっきチャウドゥックはBAZANだと言ったところですが、
東部高原地域とメコンデルタ地域とのちょうど中間地点ですから
両方あってもおかしくないかも。
開墾を終えたBINONのカカオ農園では、灌漑のために水路を何本か掘ったのですが、水路を掘ったら自然と水が湧き出してきたんです。
わずか3メートルくらい掘っただけで地下水が湧き出てくるなんて。
で、その水が、水路によって赤い水と透明な水と違うんです。
つまり同じ敷地内の土壌にも、ミョウバンの多い箇所と少ない箇所があるということですよね。面白いです。
さて、このミョウバン(アルミニウム)ですが、酸性の土壌で溶解して作物に影響を与えてしまいます。
カカオの栽培の場合ですと、およそ4.5pH以下の酸性の土壌の場合、カカオの木の根に悪影響を与えるそうです。
ベトナムの土壌は全国的に酸性に傾きやすく、農作物を管理するためには土壌のpH濃度を定期的に測定して、しかるべき対処をすることが大切です。
タインさんは毎年土壌のpH濃度を測定し、土壌が酸性に傾きすぎている場合は石灰をまいて中和します。
カカオの種類(トリニタリオ種)の中で更に何種類にも分類がありますが、違う種類の苗を4−5種類を入り混ぜて植えることが、
より強く、また風味の良いカカオを作るコツとなるそうです。
まだまだたくさん学びましたが、専門的過ぎることはここでは省略。
※ベトナムの土壌の研究をしている資料を発見!!
20年以上前ですが、土壌調査結果については、数年単位で
そんなに変わらないと思うのでとても参考になりました。
http://www.adca.or.jp/page/pf/info_KB/04KB01.PDF
次回、タインさんの長年の経験によるBINONカカオ農園の、カカオの有機栽培の方法をブログにします!!